群馬県富岡市は世界遺産・富岡製糸場を擁することで有名ですが、世界遺産認定以前から市内では都市計画道路の整備が進み、それに伴って大規模商業施設や住宅団地が郊外に建設され街の姿が変わりつつあります。
そこで平成21年3月に富岡市の都市計画マスタープランが策定され、富岡市の発展に向けて都市計画の基本方針が決定。
今回は富岡市の都市計画マスタープランの概要やまちづくりについてまとめています。
富岡市の都市計画マスタープラン概要について
富岡市の都市計画マスタープランでは、いくつかの基本理念や街のイメージがキャッチフレーズとして策定されました。
富岡市都市づくりのテーマは、「美しい自然と歴史・文化が息づく 人と環境にやさしい 住みよいまちづくり」です。
このテーマを掲げ、このテーマにそった5つの都市計画が決定しました。
富岡都市計画・都市づくりとして「秩序があり美しい土地利用促進/都市機能の集約で暮らしやすいまちづくり/地域内外への移動がしやすく交流しやすいまちづくり/健康的に安心して暮らせる街/文化や歴史が息づく街」この5つの目標が設定されました。
これらの目標に向けて、さらに細かい基本方針がマスタープランに盛りこまれたのです。
富岡製糸場が世界遺産への登録後、観光客が殺到することを見越し幹線道路ネットワークの整備はもちろん、市内の道路整備、公共交通機関の充実など交通面の整備も提案されています。
富岡市の都市計画マスタープランから見えるまちづくり構想
マスタープランが発表された当時、富岡製糸場はまだ世界遺産に登録されていませんでしたが、世界遺産に相応しい都市づくりを目指して具体的なまちづくり構想が出来あがっていました。
・世界遺産・富岡製糸場の景観を守るため緩衝地帯(バッファゾーン)を創出する
・景観法や景観条例などにより、建物の高さを制限したり建物に色合いや壁面デザインの統一をはかる
・歴史的町並みを保全するために道幅を広げる工事などはできるだけ避ける(趣ある街並みが壊れるため)
これら対策は、富岡製糸場の世界遺産登録を睨んだものです。
富岡市の場合、ほかの都市と比較して「世界遺産に登録されるかもしれない歴史的遺産」を持つがゆえに、歴史的遺産を保全・管理することが重要な課題となりました。
富岡製糸場の緩衝地帯設置以外にも…
・中心商店街活性化
・災害に強い都市環境の整備
・安らぎを感じる公園緑地の整備
・市内の道路網整備
・市内を「市街地ゾーン/都心交流(中心市街地)ゾーン」にゾーニングし、広がりのある土地利用を推進するなど、多くの具体的な都市計画が策定され、国内外の観光客が訪れても「美しい・秩序がある」と感じられるまちづくりを進めています。
まとめ
富岡市は富岡製糸場が世界遺産に登録されることを見越し、平成21年に富岡市都市計画マスタープランが完成しました。
富岡製糸場が世界遺産に認定されたのはそれから5年後の平成26年のことです。
この富岡市都市計画マスタープランは、富岡市や富岡製糸場の将来を考えた都市計画であることに間違いありません。
富岡市の都市計画は「街の将来を予測して策定していくことが大切である」という考えを示していますね。