高崎市で不動産売却する際成年後見人が必要なケースは?制度利用の流れや注意点も紹介

不動産売却

新井 清之

筆者 新井 清之

不動産キャリア18年

空家・古屋・ご相続した不動産のご相談等、不動産売却に関する事は何でもお気軽にご相談ください。迅速に対応致します。業界歴18年。不動産売却実績1000件以上あります。宅地建物取引士。特に得意なエリアは高崎市です。

高崎市で不動産の売却を検討する中で、「成年後見人が必要なケース」についてご存知でしょうか。不動産の売却は、ご本人の判断能力が不十分な場合、成年後見人を立てる必要が生じる場合があります。これは、ご家族やご自身にとって重要な問題です。この記事では、成年後見制度の概要から、居住用・非居住用不動産で後見人が必要となる具体的なパターン、手続きの流れや実務上の注意点まで、分かりやすく解説します。今後の円滑な売却のため、ぜひお読みください。

成年後見制度の概要

高崎市においても適用される成年後見制度には、大きく「任意後見制度」と「法定後見制度」の二つがあります。「任意後見制度」は、本人に十分な判断能力があるうちに信頼できる人を後見人に選び、公正証書により将来の支援内容を定めておく制度です。一方、「法定後見制度」は、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所を通じて成年後見人・保佐人・補助人が選任される制度です。

成年後見人・保佐人・補助人にはそれぞれ権限が異なります。判断能力が著しく低下している場合には「成年後見人」が選ばれ、あらゆる法律行為について代理権が与えられます。判断能力がやや不安な場合には「保佐人」が選ばれ、特定の法律行為について同意や取消しが可能です。さらに判断能力に軽度の不安がある場合は「補助人」が選ばれ、やはり同意・取消しの権限が限定的に認められます。

不動産売却に際して成年後見人が必要となるのは、主に本人の判断能力が低下し、法定後見制度の適用を受けている場合です。特に「居住用不動産」を売却する場合には、本人の生活の本拠を守る観点から家庭裁判所の許可が不可欠であり、成年後見人による手続きの際にはその許可を得ることが求められます。

以下に、この制度と関連する主要なポイントを一覧にまとめています。

制度の種類 選任形態 不動産売却における特徴
任意後見 本人による事前契約 売却条件を契約に組むことにより、後見開始後もスムーズに売却可能
法定後見(成年後見人) 家庭裁判所が選任 居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要
法定後見(保佐人・補助人) 家庭裁判所が選任(権限制限有) 特定の法律行為(売却など)に同意権や取消権が必要

居住用の不動産を売却する際に成年後見人が必要となるケース

成年後見人(法定後見人・保佐人・補助人)が、成年後見制度を利用して居住用不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可が必ず必要です。それは、本人の居住の基盤を守るために設けられた制度であり、許可を得ずに売却した場合、契約は法的に無効となります。たとえば、本人が現在施設に入居していて居住していなくても、将来的に戻る可能性がある場合には「居住用」とみなされ、許可が必要です(民法第859条の3)。

以下に高崎市の家庭裁判所での手続きを想定して、申立てから許可取得および売却までの流れを時系列で整理しました:

段階内容
1. 申立ての準備売却の必要性を示す資料(査定書・評価証明書など)、登記事項証明書、売買契約案などを揃えます。申立人は成年後見人等です。収入印紙や郵便切手も必要です。
2. 売買契約の作成売買契約を締結しますが、必ず「家庭裁判所の許可を得た場合に成立する」という停止条件を契約書に記載する必要があります。
3. 家庭裁判所への申立て高崎市の家庭裁判所を通じて、「居住用不動産処分許可」を申請します。さらに、売却の正当性や本人の利益などを説明します。申立てにかかる書類は裁判所のサイトで確認し、漏れないようにします。
4. 許可の取得と売却手続き裁判所から許可が出たら、売主(成年後見人)と買主との間で正式に売買契約を確定し、決済および所有権移転登記を行います。

必要書類としては以下が中心となります:

  • 申立書(2枚綴り)および添付資料
  • 収入印紙(約800円)および郵便切手
  • 不動産の登記事項証明書(全部事項証明書)
  • 不動産業者による査定書・評価証明書
  • 売買契約書案(停止条件付き)
  • 成年後見監督人がいる場合は意見書など

高崎市内の家庭裁判所においても、上記と同様の手続きと書類が求められると想定されます。迅速かつ確実に進めるためには、事前に裁判所の受付窓口で必須書類を確認し、漏れや不備のないように準備することが重要です。


非居住用不動産売却で成年後見人が必要となる場合

成年後見制度の下で、本人が現在住んでいない非居住用不動産(例えば、空き地や賃貸用物件など)を売却する場合、基本的には家庭裁判所の許可は不要です。しかし、後見監督人が選任されているケースでは、その同意が必要となります。これは、成年後見人が本人の意思や利益を守る義務を負うため、監督人のチェック機能が働くからです 。

高崎市においても、この原則は変わりません。空き地や賃貸物件など、本人が居住していない不動産については、居住用不動産ほど制約はありませんが、後見監督人がいる場合は必ず同意を得る必要があります 。

以下に、手続きの流れと注意点を表にまとめました。

項目内容備考
許可の必要性家庭裁判所の許可は不要非居住用である場合
後見監督人の同意必要な場合あり後見監督人が選任されている場合
売却時の留意点正当な理由や価格妥当性の確保本人の利益を優先する視点で対応

なお、非居住用不動産でも形式や事情によっては「実質的に居住用に該当」と判断され、家庭裁判所の許可が求められる例もあります。たとえば過去に住んでいた物件の敷地で、将来復帰の可能性がある場合などです。このようなグレーゾーンでは、慎重に対応し、必要に応じて家庭裁判所に相談することが望ましいです 。

まとめると、高崎市において非居住用不動産を売却する際には、(1)家庭裁判所の許可は通常不要、(2)後見監督人がいれば同意が必要、(3)居住用とみなされる可能性のある場合には注意が必要、という点をふまえた対応が求められます。


高崎市で成年後見人制度を活用する際のポイント

高崎市で成年後見人制度をご利用になる際には、まず申立先がどこになるかを確認することが重要です。成年後見制度の手続きは、原則として「本籍または住所地を管轄する家庭裁判所」で行います。高崎市の場合は前橋家庭裁判所の高崎出張所などが窓口となりますので、まずは申立先を把握しておきましょう。

制度利用の流れとしては、おおむね以下のような期間と費用を見込んでおくと安心です。

項目目安
申立手数料(収入印紙)凡そ3,400円(申立800円+登記2,600円)
郵送用切手代後見申立の場合4,000円前後
鑑定が必要な場合の費用10万~20万円程度(裁判所が要と判断したとき)

ほかにも診断書作成費・戸籍・住民票・登記証明書などの取得費用として数千円~数万円程度かかる場合があり、合計で数万円から十数万円を見込むのが一般的です。

手続きにかかる期間の目安としては、成年後見人の選任・審判開始までに1〜3ヶ月ほどかかり、売却許可申立てから許可までにはさらに1〜2ヶ月かかるケースが多く、合計で2〜5ヶ月程度の余裕を見ておくと安心です。

制度をスムーズに活用するためのポイントとしては、早い段階で司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。書類の不備や手続きの誤りは手続きの遅延や売却の無効にもつながりかねません。専門家のサポートを受けながら進めることで、安心して手続きを進行できます。


まとめ

高崎市で不動産売却を検討している方にとって、成年後見制度の正しい理解は非常に重要です。居住用不動産の場合は、家庭裁判所の許可が不可欠であり、手続きには一定の期間や費用がかかることも把握しておく必要があります。また、非居住用不動産でも後見監督人の同意が必要となるケースがあるため、状況に応じた対応が大切です。高崎市での円滑な手続きを実現するためには、専門家への相談を早めに行うことがポイントとなります。制度を知り、適切な準備をすることで、ご自身やご家族の利益を守ることにつながります。

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